【店部推薦図書33】「私の辞書論」福本和夫(河出書房新社)



福本和夫は1894年(明治27年)生まれのマルクス主義者、思想家です。彼のマルクス理論は当時「福本イズム」と呼ばれ、特に若者に大きな影響を与えました。
1928年投獄されますが不転向を貫き14年間入獄。
戦後、政治活動を再開しますが1958年に日本共産党を除名処分。1983年没しますが、その後、忘れ去られた思想家として柄谷行人などに「再発見」されます。

本書は、投獄されていた時期に熟読したという辞書について、70年代に書かれた文章を集めた一冊です。

ガチガチの内容ではないか?と思いきや、この本、実にフランクです。
福本翁が「まあまあ、お茶でもどうぞ」と、書斎に招き入れてくれたかのような気安さです。

幸田露伴、ディドロ、尾崎紅葉、中国明代の『和漢三才図会』、西周、サミュエル・ジョンソンの英語辞書、『大日本地名辞書』などなど、古今東西の辞書、百科事典について、項目(表題)を細かく分け、ポンポンと軽快に語られます。
「辞書論、なんじゃそれ」と思う暇もなく、グイグイと福本ペースに持って行く。さすがに話の上手さは抜群です。

福本和夫が「普通に面白い」、貴重な1冊です。

520円で販売中。