【店部推薦図書31】『「日本人らしさ」とは何か−日本人の「行動文法」を読み解く』竹内靖雄(PHP文庫)



作者の竹内靖雄は1935年生まれの経済学者、専門は経済思想史。

「日本人らしさ」を考えること。

江戸時代なら、中国文化の中での日本人のアイデンティティーを見つけるために、国学というのがありました。
明治時代は日本文化が激変する時代でした。その中で内村鑑三、岡倉天心、新渡戸稲造、九鬼周造などは日本文化のタームをわかりやすい、キャッチーでポップなもの、つまり国内外の誰でもわかるように苦心しました。

戦後はルース・ベネディクトの日本人論の古典『菊と刀』。イザヤ・ベンダサン(山本七平)の『日本人とユダヤ人』などの日本人論ブームなどがあり、いずれもよく知られた名著です。

本書はそのような日本論の中でも、日本論を通り越して、一種の哲学体系にまで高めた傑作です。
一貫している主張は「一見非合理的に見える日本人らしさが実は合理的である」というものです。そのことを裏付ける、物量と分析力、その整合性は圧倒的です。
とにかく「スキはみせない」とばかりに、あらゆる事象に関しての言説が矢継ぎ早に繰り出され、文化、風俗、政治、など「日本のもの」なら解けないものはとりあえずありません。

例えば「真実・真理」の項。

「真実」とは自分にとって都合のよいことでなければならない。そうでないものは「真実」と見なされない。

本文自体が当たっているかどうか?ということではなく、ものごとをこの文章に当てはめて考えることが大切で、大人なら本来すべき「いろんな方向からものごとを考えてみる」ための指南書ともなり得ます。

「状況に対応」することに必死になり、ストレスが高まると、人は感情的になってしまいます。感情的になると思考は単純になり、その発言は、正しい、正しくないにかかわらず、人を不快にさせる一面があります。

日本人は「思考の省略」に熱心である。役に立たないことは考えたくないし、複雑で結論の出にくい問題を考えることは極力省略しようとする。(「合理主義」より)

やはり「思考する」ことを止めてはいけません。

200円で販売中。